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パンナコッタに似たデザートって、どんな名前をご存知ですか?
日本だと、ムースやババロワとよく比較されますよね。ブラマンジェも似た感じのデザートです。中には、アメリカと日本で使っている名前の受け止め方が違うものも。
加えて、カスタード系にも触れると、このようなクリームやミルクを使って焼いたり、冷やし固めたお菓子がたくさんあります。
チョコレートやその他の、見てすぐにわかるフレーバーが入ってないベーシックなものは、たいていオフホワイトなので、同じ形で出されたとしたら、区別がつくでしょうか?
パンナコッタに似たデザートにはどんなものがあって、何が違うのか、クリーミーなデザートに関して、少し範囲を広げて探ってみたいと思います。
パンナコッタに似たデザートの種類
<冷やし固めて作るもの>
ここに挙げるデザートを作るときに、乳製品や卵を鍋で煮溶かす手順は含まれますが、その後はただ冷やし固めるものです。
・パンナコッタ “Panna Cotta”
イタリアの代表的なデザートですね。私も大好きなので、抹茶のパンナコッタや、大人用には、ストロベリー・ダイキリ、また秋の季節には、栗のキャラメル・パンナコッタを作ったりしました。
“panna cotta”というのは、イタリア語で、“cooked cream”の意味になるので、必ず生クリームを煮たてたものに、ゼラチンを溶かして固めるようになっています。
でも、デザートに限らず、人参やアスパラを使って、砂糖を加えずにオードブルなどのセイボリー用に作ることもできます。だから食事用だと、時にはゼラチンの代わりに、魚の骨を煮込んで固める方法もあります。
・ブランマンジェ “Blancmange”
同じく白っぽい仕上がりの似たデザートに、ブランマンジェがあります。こちらは、フランス語で、“blanc manger”、つまり白い食べ物、という意味になります。
アメリカのレストランでは食べた記憶がありません。牛乳や生クリームにアーモンドを入れて煮立てることが多く、固める際は、ゼラチンを使ったり、コーンスターチを使います。
初めからアーモンドミルクを使うこともあれば、ココナッツミルクで作ることもあります。英国風にいただく時には、大抵アングレーズソース(カスタードソース) “anglaise sauce” が付いてくることが多いです。
・ムース “Mousse”
ムースの基本は、卵白や生クリームを泡立てて自然に固めて作ります。そもそも、フランス語の “mousse” というのは、「泡」という意味です。ちなみに、髪につけるヘアームースも泡立ってますよね。
空気をたくさん含ませて作る分、とても口当たりが軽いデザートになります。またムースは、加える材料によっては、コースディナーのオードブルにすることもよくあります。
デザートムースは過去にたくさん作っていますが、少し例を挙げると、上記のラズベリー入りチョコレートムースやホワイトチョコレートムースなどがあります。
・ババロワ “Bavarois”
ババロワは、バーバリアンクリーム “Bavarian Cream” とも呼ばれ、クレーム・アングレーズ “creme anglaise” を基本に、ホイップクリームと混ぜることで、ふんわりしたボリュームが出てきます。
牛乳にバニラを入れて煮立てたものを、卵黄を泡立てたものと混ぜ、ゼラチンを溶かして、更に生クリームを泡立てたものと混ぜて冷やし固めます。卵黄が入るので、パンナコッタより黄色っぽくなります。
私は、バニラとコーヒー味の2色カラーのババロワや、ブラックベリー・バーバリアンを作ったことがあります。
<オーブンで焼いて作るもの>
これらのデザートは、最終的には全て冷やして食べるのですが、一旦オーブンに入れて焼く作業を伴うものです。
・ポ・ド・クレーム “Pot de Creme”
フランス語で、“pot of cream”の意味になるリッチなカスタードクリームのデザートですが、専用の蓋付きポットのような形をした容器があり、その入れ物自体のことも指します。
一般的には、チョコレート・ポ・ド・クレームがよく知られていて、オーゾドックスな作り方では、生クリームと牛乳を大体半々の割合で煮て、チョコレートを溶かし、卵黄を混ぜて容器に入れ、オーブンで蒸し焼きにします。
もっと簡単な方法では、ブレンダーで温めた乳製品と卵を混ぜて、バニラやコーヒーを加えてフレーバーを付け、グラスや陶器に入れて冷やし固めればいいだけです。
・クレームブリュレ “Creme Brulee”
リッチなカスタード系フランス菓子ですね。専門の料理本もたくさん出ています。他の名前では、「焦がしたクリーム」“burnt cream”と呼ぶこともあります。
素材には、ほぼ100%ヘビークリームを使って、鍋で温めるか湯銭にかけ、レシピによっては、卵黄または全卵を用い、カスタード状になるまで混ぜ合わせていきます。
これをココットに入れて、オーブンで蒸し焼きにした後、冷蔵庫で完全に冷やします。食べる直前にブラウンシュガーを満遍なく振りかけて、オーブンのグリルで焦げ目をつけたら出来上がり。
できれば、クレームブリュレ専用の浅いココットに入れて焼いた方が、表面積が広い分、硬くなったカラメルシュガーをたくさん味わうことができますね♪
アメリカのレストランに行って、デザートメニューにクレームブリュレを見つけると、必ず注文して、そのレストランの腕を見ることにしています。
私自身も、ベーシックなもの以外に、ホワイトチョコレートを混ぜて更にリッチにしたり、ココナッツ風味を加えたものや、大人用にはコーヒーとブランデー入りのクレームブリュレも作ったことがあります。
・フラン “Flan”
アメリカでは、フランという呼び方のデザートが、日本で言うところの「カスタードプリン」に一番近いように思います。「プリン」を英語にすれば、“pudding”なのですが、これは本来やや広範囲のお菓子の呼び名になります。
ただ、もう少し付け加えると、イギリスにおいては、あの金属のリング状モールドを使って作る、タルト菓子を指すことになるので、区別が必要です。
プリンに近いフランの方は、クリーム・キャラメル”cream caramel”と呼ぶこともあります。クレームブリュレと大きく違うところは、最初にカラメルソースを作っておいて、ココットの底に入れて固めておくという点です。
あと、牛乳が主体となるので、もっと軽くプルンとした食感になります。好みで卵黄または全卵を使い、湯銭状態で焼くところも同じです。
中には、ブラジル風のフランもあって、そのときはトレス・レチェのように、生クリームと練乳も使ったので、かなりリッチなフランになりました。
クリーム系洋菓子の違いはどこに?
1つ1つの説明はわかっても、じゃあ何と何はどう違うの、となったときに、ある程度簡単に違いが分かる部分を表にしてみました。
もちろん、例外はあって、国によっても、作る人々によっても、フレキシブルに材料を変える場合があるので、大体の目安としてとらえてください。
なお、上記の解説でも省いているのですが、砂糖は全てに入っているため、違いの比較にはならないので、ここでも省略することにします。
デザートの名前 | 乳製品の中身 | 卵の種類 | ゼラチン | 泡立て |
パンナコッタ | 生クリーム | 無 | 有 | 無 |
ブランマンジェ | 牛乳・生クリーム | 無 | 有と無 | 無 |
ムース | 生クリーム | 卵白 | 有と無 | 有 |
ババロワ | 牛乳・生クリーム | 卵黄 | 有 | 有 |
ポ・ド・クレーム | 牛乳・生クリーム | 卵黄 | 無 | 無 |
クレームブリュレ | ヘビークリーム | 卵黄・全卵 | 無 | 無 |
フラン | 牛乳・生クリーム | 卵黄・全卵 | 無 | 無 |
これで、少しはすっきりしたでしょうか?
細かい食材や作業の違いはともかく、基本的な部分の区別がわかると、選びやすいと思います。
パンナコッタに似たデザートはいろいろありますが、卵アレルギーの方でも、ブランマンジェまでは大丈夫そうですね。
ベジタリアンの方には、動物性タンパク質であるゼラチンの有無が決めてになってくるかと思います。
上記の解説で挙げた実際のデザートレシピは、拙ブログ「手作り大好き! レシピふやそう! <お菓子の巻>」に載せていますので、ご覧になってみてくださいね。
また、このサイトの「世界のお菓子の種類」のカテゴリーでも、各国のおいしそうなお菓子の解説をしていますので、参考になさってください。